作者の垣谷美雨さんの目の付け所は良い。
選択的夫婦別姓問題と先祖代々の墓を誰がどう守っていくか?問題がテーマのお話です。
昭和の時代は、ほとんどの夫婦が結婚するときに夫の姓を名乗ることに多少の躊躇はあったものの、9割以上は前例に倣った。
旧憲法時代からの家父長制度を連綿と守り疑問も持たずにいる、男性のせいで。
夫の姓を名乗るものだ、
先祖の墓は長男が守るものだ
墓掃除などは嫁の役割
80代で妻に先立たれた夫。妻が娘に遺言として「夫や舅姑と同じ墓に入りたくない。樹木葬にして欲しい」という言葉を残して亡くなったことを知り、怒り悲しむ。
檀家の菩提寺の若い僧侶との関わりを通して、次第に自分が縛られたもので妻へ労ったり大切にしてこなかった後悔に苛まれる。
僧侶は
仏教の言葉「色即是空」を例え、
この世の形ある物は空、つまり仮の姿。
墓も家も寺も人間が作ったものに永遠の物はない。
いつかは朽ちていく。
それを受け入れなければならない。と諭す。
私たち世代は、たいてい2人3人兄弟か一人っ子。
兄弟の中には、独身者もいる。
兄弟全員が結婚してて更に子供がいるなんて、珍しいとまで言われる。
昭和の時代と家族の形が大きく変わっている。
それなのに、長男が家を守り墓を守り、妻が従わなければならないと法律で決まってるわけでもないのに、縛られている人がまだ多いのではないでしょうか。
もう一つのテーマ
この人優しいフェミニストと信じていた婚約者が、どちらの姓を選ぶかというギリギリの局面で実は男が上、女が下と潜在意識に凝り固まっている事に気づき、幻滅する女性達。
現実には平成生まれの女性達も、法律上の問題で、夫の姓を名乗るか事実婚かの選択しかないのか?と悩んでいる人は多い。
小説の最後はちょっとだけ近未来のフィクションで、選択的夫婦別姓の法案が可決された事になっている。
小説と同じく与党の長老達が古い家族観を理想とし続けている日本ですが、先の衆議院選挙で少数与党となりました。
美しい日本なんて言ってたグループの議員も少なくなりました。
石破ちゃん、頼んだよ。