読了 古本食堂新装開店
原田ひ香さんの作品は読み易くて、同世代の方々のファンも多いですね。
前作の古本食堂では、急逝した兄の古書店を引き継いだ帯広出身のシニア女性の珊瑚さんが、右も左も分からない神田の街で、生前兄が築いたネットワークに助けられながらも、誠実さと一生懸命さで、少しずつ古書店という商売をやって行くというお話で、ショートストーリーの中に、作家や実在の食べ物屋さんが描かれています。
私は、東京に行った時には、お茶の水駅に近いホテルに泊まり、周辺のお店や街をブラブラするしかできません。
つまり上京したての珊瑚さんのように、導く人がいなければ、オドオドキョロキョロするだけなんです。
主人公が北海道帯広出身で、シニアになるまで東京に住んだ事もないのに、全く新しい事に挑戦してみようという姿勢が、応援したくなるし、自分にもこれから何かできるのでは?という勇気をもらえる気がします。
続編の本作は、一年以上古書店の経営に本腰を入れた珊瑚さんが、後継者になってくれそうな遠縁の女の子と共に、更に色々な人との出会いが描かれています。
前作からの流れで、シニアの恋愛や、LGBTについても温かい眼差しで描かれています。
古書店が舞台なのですが、中世や近世の古文書や古典や文献のようなお宝を扱うのではなく、昭和時代に出版された作品についてのストーリーが多くて、自分が愛読していた森瑤子はもはや古書店に並んでいるのだなぁとしみじみしたり、認知症になった年老いた母のために名前もわからない女性雑誌を買いに来た女性のために、珊瑚さん達が探しあてた雑誌は、何と昭和56年発行の暮らしの手帖
ミステリーのような本探しですが、途中から「それは暮しの手帖だってばー!」と教えてあげたくなったり。
この表紙のお弁当は、店名は出ていないけど、多分「弁松」
江戸を感じさせる、甘辛い味なんですよね。

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